遠い再会を視野に

大滝さんを黒幕(主宰?)とするナイアガラ・トライアングル名義の2番目のアルバム。大滝さん、杉真理さん、佐野元春さんが参加するアルバムです。

Cボーイとは何? サウンドも爽やかだしSea(シー)のだじゃれかしら? など思いましたが、クリスチャンのCだとのこと。佐野さんが立教出身というのもあってでしょうか、ミッション系の学校に通う時代の自己描写なのかもしれません。との正解めいた解釈の有無はともかく、Cとだけいっている頭文字に何を想像しますか?

メロディの描線の前後のつながりの美しさもありながら、独創的な動きを持ちます。境界人間期を意匠するかのようにうろうろと動くメロディ。“Bye Bye C-Boy あなたは若過ぎて 本当の私を 解ってもらえない この世界が 変わる時まで Bye Bye C-Boy 何も言わないで”(『Bye Bye C-Boy』より、作詞:佐野元春)と歌う後半のほうのヴァース。では、世界が変わったときにまた会えるのかもしれないなと、決別を託す主題にも希望、遠い再会の機会を視野に入れたようなせつないながらも光明のある曲想が感性豊か。高校生くらいの頃の佐野さんが書いた曲だといいますが、そうした青く儚い感性にも納得。

間奏で迷宮めいたコード展開に突入し、英語らしき朗読のバスボイス。聖書の一節を読み上げているそうです。ぎゅっとつまった曲尺に変幻するサウンドやアイディアがこめられています。

Bye Bye C-Boy NIAGARA TRIANGLE feat. 佐野元春

作詞・作曲:佐野元春。NIAGARA TRIANGLE のアルバム『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』(1982)に収録。

NIAGARA TRIANGLE feat. 佐野元春 Bye Bye C-Boyを聴く

夢を見ているようなサウンド。ビートルズのペニーレインなど思い起こさせるダウンビート、ギターや鍵盤など和音楽器の合算が豊かな倍音を形成します。ベースの緩急、雄弁に上下するメロディアスな動きや音色の描線がかえってさびしげで孤独に映ります。思い出の印画紙のなかの出来事みたいです。

ピアノの音色がホンキートンクみたいにちょっとしたラフな音程の揺らぎを積極的に取り入れる態度を思わせます。

間奏は同主短調のコードを下敷きに朗読パートに入ります。光と影の表裏の表現でしょうか。低い声の朗読は佐野さんご自身か。C-Boyを俯瞰する第3の視点を声色で表現します。ホーンの類もビートルズのあの曲風なアプローチ。敬意のたまものでしょう。

ペニー・レインを行くみたいな気持ちで、C-Boyの人生も橋を渡っていくのでしょう。その行進の足取りを描写するようなタタキの4分打ちのリズムが頼もしくも青々としています。

コーラスに突入したときのバックグラウンドボーカルの豊かな様相が夢見心地で、豊かになるほどに儚さが私の中で増大します。みんな無意識であっても昨日までの自分にさよならを言いながら、ずんずん歩いていくのです。バイバイはハローの言い換えなのだと思い至ります。

青沼詩郎

参考Wikipedia>NIAGARA TRIANGLE Vol.2

参考歌詞サイト 歌ネット>Bye Bye C-Boy

佐野元春 : オフィシャル・ファンサイト – Moto’s Web Serverへのリンク

『Bye Bye C-Boy』を収録したNIAGARA TRIANGLE のアルバム『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』(1982)