続きを読む The Beatles『Eleanor Rigby』 不協和とシュールの寓意 シュールな歌詞の世界の手ざわりは硬質。哲学の問いのようでもあります。弦楽器のストロークやカウンターラインが奇麗。ボーカルと同時に横に流れ、ときに縦の線で不和を起こします。不協を背景に跳躍の歌唱は高度。空耳のおかしみは音楽の魅力に符合します。
続きを読む 松田聖子『瑠璃色の地球』 ミクロの向こうのマクロ 平井夏美の音楽の語彙の豊富さ。こりかたまった心に染み入る松本隆の言葉つむぎ。音楽とことばを透明に映しとる松田聖子の歌唱。Cメロ(大サビ)の緊張の連続に「おっ」と思い、それをきっかけに細かくみていくほどに良い曲。裏表のない美しさに出会えた稀。普遍を究めるほどに、いろんな個人や社会の境遇に響くのです。さながら、三賢人の楽船か。
続きを読む 井上陽水『帰れない二人』 星よ、帰らないで。〜もやつく叙情のきらめき〜 曲に独立した深い想像の世界を持たせた上で、現実をネタにしたジョークの世界としても超一級。毎度井上マジックにクラクラする私。アイディアの出発点はRCサクセション『指輪をはめたい』だといいます。元ネタを問う必要もないくらいの独自性の高みだと個人的には思います。私が関係者でも『帰れない二人』をA面にしたいと主張しただろうな。それくらい好きです。ふらふらした、もやつくコード感やイケズなメロディセンスも絶品。
続きを読む くるり『野球』 モチーフを大事に モチーフを丁寧に扱うことの大事さ。モチーフはそこらにあるし、すでにここにあることも教えてくれます。背景を変えたり、環境を移したりするのもきっかけ。主題や資源への執着もヒントのひとつかもしれません。明日もきっと、音楽好き。
続きを読む 坂本九『ともだち』 拡散のエナジー・バトン 印象深い低音下行はアコベに低域ブラスの合音。スウィンギーでエナジーがあり、ともだちに託した! のマイナーシックス・アドナイン。結ぶのでなく開くエンディングはむしろプロローグ。ともだちと前を向いて事を始めるための歌か。
続きを読む RCサクセション 君が僕を知ってる 規範を否定する規範 歌い出しの歌詞は不変の仲とは何かの思考をくれます。友達ってそういうものでは。音源を聴けばさまざまな彩りが気付きをくれますが、それ以上の主題をこの曲は含んでいます。音楽で、音楽以上のものをやっている。そんな気にさせる偉業であり、なのにこんなにも愛嬌がある。
続きを読む PUFFY『渚にまつわるエトセトラ』 松原ってどこ? 痛快珍奇な歌の世界。固有名詞をつかってありえない世界を描く仙人芸。松原は各地に存在しますが、福岡県にもあるようです。ガザミ(ワタリガニ)が揚がる土地みたいですよ。サビ“カニ食べ行こう”にも合点がいきます。
続きを読む めだかの兄妹 就寝前の箴言 一見ゆるいお遊戯。萩本家3姉妹、就寝前設定の「欽どこ」。姿かたちの似た種でスケールアップする想像(あるいはペンギンのオチ)。大きくなっても種族までは変わらないの正論で覆す。歌いやすく平易なリズムで抑揚・ポジ取りの妙。深読みゃ箴言。
続きを読む 100年スタンダード『Dinah』のダイナマイト押韻 脚韻の気持ち良い歌詞。ディック・ミネの第5音からの歌い出しが妙。ペンタトニック・スケールのメロディ。音楽にみちびかれる「ダイナ」の魅力。