私には、素敵な映画をたまに耳打ちしてくれる素敵な友人知人たちがいる。

きのう教えてもらったのが『沈没家族』(2018)。

武蔵大学の学生だった監督の加納土の卒業制作で生まれた作品の劇場公開版。

いま、ポレポレ東中野で観られるそう(〜10月9日)。2019年、今年と上映を重ねてきたみたい。映画の舞台も東中野なので「里帰り上映」と銘うたれてもいるよう。

シングルマザー(監督の母、加納穂子)がはじめた共同保育で育った、監督の加納土。その共同保育(と共同生活)の取り組みにつけられた名前が「沈没家族」。

成長した監督が、当時をともに過ごした人を追う。母、父をめぐる。取材する。そういう内容みたい。

映画は館で。

とりあえずその主題歌でもさぐってみようか。

MONO NO AWAREの『A・I・A・O・U』。

浮遊感ある。歌詞の乗せ方。リフレイン。普遍的なてざわりの言葉を繰ってただならぬフックのポップに仕立てている。

エレクトリック・ピアノの音、ドラムス。まろみのある音と空気感。ウワモノの合いの手。間奏に『おもいでのアルバム』(増子とし作詞・本多鉄麿作曲)のオマージュと思われるギターソロのメロディ。Weezer、それからフジファブリックを思い出す。

実際、フジファブリックはボーカルギターの玉置周啓が聴いてきた音楽とのこと。メンバーは彼と加藤成順(ギター)、竹田綾子(ベース)、柳澤豊(ドラムス)の4人。

彼らのサード・アルバム『かけがえのないもの』を聴いてみたけれど、すごい。ことばの遊びと発想。着眼点。その発展のさせかた、まとめかた。それらと呼応した音楽。かつ、ポップの体を保ったバランス感覚が秀逸。

アルバム内ぜんぶにふれていきたいけれどひとまず

『かむかもしかもにどもかも!』

怒濤の早口言葉が衝撃。NHK・みんなのうたへの書き下ろし曲とのこと。

MONO NO AWAREのうわさはかつてから私も聞き及んでいた。何度かサブスクリプション音楽アプリで再生して、何曲か聴いてもいた。いま。あらためて彼らの音源をめぐっていて「あ、これは聴いたことがあったな」と思い出すものがある。そのときの私はその程度でスルーしてしまっていたのである。つくづく、そのときに引っかかるものが何かは移ろうことを思う。

『言葉がなかったら』

この曲すごく好き。どこかで聴いたことのあるような曲調、サウンドであるのは確か。

彼らは出会った音楽のいいところをとりいれて「MONO NO AWARE」としてユニークに新しくてどこかなつかしい音楽を表現する。

こちらのインタビューにも彼らが通ってきた音楽のうち、実際にそのオリジナル楽曲に影響をもたらしたと思われる他アーティストの曲がいくつも紹介されている。センス高いなぁと思う。玉置と加藤が八丈島出身というパーソナリティも面白いし、稀有だと思う。

青沼詩郎

MONO NO AWARE 公式サイトへのリンク

このアルバムすごい。MONO NO AWAREのサード・アルバム。『沈没家族』に寄せられた主題歌『A・I・A・O・U』をアルバムの最後に収めている。