犬のケツを見ていた。

私は、公園を自転車で走り抜けている。

平日の夕方だった。

犬の散歩をしている人を追い越す私。

茶色い、ぬいぐるみみたいに毛の縮れた小型の洋犬を連れた男性。

私の目に、その犬の尻がとまる。

尾が立って、肛門がこちらを向いているのが丸見えだ。

人間の尻の穴は、放送したり公衆に送信したりできないだろう。

でも、犬の尻だったらたぶんできるんじゃないかな。

この世の法律は、つくづく人間中心につくられている。

人間の、人間による、人間のためのルールだとすれば、当たり前だけれど。

蚊や蝿を、わずらわしく思って平気で殺してしまうことがある私。

そんなことを、深く考えずに日常的にやっている。

けれど、人が人を傷つける行為は厳しく禁ぜられる。

でも、大型の犬だとか野生の熊だとか、人間に危害を加えた動物で、その力による危険をただちに退けるために、その緊急性のためにやむを得ないとき、おそらく人間は、そうした大型のほ乳類なんかでもその場で殺してしまうこともあるだろう。

だからなんだというのでもないのだけれど。

リトル・リチャード『Long Tall Sally』

犬の尻が目にとまった公園でのワンシーンからそんなことを考えていた。

「tail」という単語について考える。尾っぽ、しっぽ。そんなような意味だったろう。

ところで、「tale」という単語もある。お話、ものがたりといった意味だったかと思う。

『ろんぐ・ている・なんたら・・・・』っていう曲あったよな、と連想する。

すぐ調べてみる。そうだ、リトル・リチャード。『Long Tall Sally』だ。「ている」じゃなかった。「とーる」だ。


12小節のブルース。数多のミュージシャンに敬愛されてきたお人、リトル・リチャード。

検索していたら、先の5月に亡くなっていることがわかった。9日だそうだ。気付かなかった。87歳だったそうだ。

The Beatles『Long Tall Sally』

ビートルズによる演奏がある。

こちらは、なんてハイトーンなんだろう。

熱量がすごい。

くるり『Long Tall Sally』

アルバム『NIKKI』に『Long Tall Sally』が収録されている。

https://music.apple.com/jp/album/long-tall-sally/105059402?i=105058026

私が敬愛するバンド、くるり。

こちらはリトル・リチャードのカバーではなくオリジナル。

ブルースからは、古典、基礎、伝統、懐古、悲哀、詠嘆といったものを連想する。

そんなブルースを、バンジョーやシンセ風のパートのサウンドを交えて、こんな先鋭的な表現にしてしまうなんて。

0:50あたりから、cの低音保続の上でコードが複雑に入り組み、濁ったりくすんだりするみたいに響きの光量や色彩が変化する。ふと、『ファンデリア』を聴いたときに感じた尖り方やひねり方を思い出した。

非シングル曲にして、間違いなく『NIKKI』のハイライトのひとつだと思う。

YOASOBI『夜に駆ける』

楽曲のコードが気になったとき、もちろん自分で拾い出しもするんだけど、横着して検索してしまったりもする。

『楽曲名 コード』で検索すると、必ず出てくるサイトがいくつかあったりする。

そこに、人気ランキングなるものがあるのに気付く。

みんな、どんな曲のコードが気になって検索したりしてるんだろうか。

あるサイトの人気上位にランクインしていた『夜に駆ける』YOASOBIが気になった。私が、まだ知らない名前だった。恥ずかしいかな。刻々と変化する最新の音楽を、つくづく私は知らない。(そのくせ古い音楽もろくに知らない。)YOASOBIを検索して聴いてみる。

動画に行き着く。

アニメーション。映像との組み合わせが、表現の定型になっているこの頃の音楽界を思う。

きわめて現代的な表現である。私はじじくさい。

ボーカロイド作品の発表から人間のボーカル音楽にシフトする作家も増えたと思う。ボカロPが、アーティストに。

DAW上で構築した世界に、肉体由来の音を融合させる。そんな音楽が、本当に増えた。


いろんな音楽をうろうろして、ネタを絞れない。

こんな日もある。

それぞれ、1曲だけで取り上げるべき質量があると思うけれど、今日は正直に「深堀らず」でいこう。

Weezer『Island In The Sun』

ところで、尻、尻、ヒップ、hip…

ということでこの曲も思い出した。

Weezer、すごい好きだったな。

歌詞に、「hip」が出てくる。私には「へっ へっ」と聴こえた。

印象的なオープニング。この曲の顔は尻なのだ。(…なワケない。)

hipは尻、というか腰部?を指す単語で、スラングでもある。

スラングとしてつかわれる場合は「カワイイ」とか「クール」みたいに、けっこう解釈が広いみたいだ。

でも、たぶん、「ホメ」る感じで、好意的につかうんじゃないかしらと勝手に思っている。

Weezerの『Island in the Sun』は、めっちゃhip。(意味わかってないで使ってる)

大好きで、めっちゃ聴いたな。歌メロをなぞるリードギターとかも好きだった。ギターロックなのに、メロを重視する「歌謡」の心に通ずるものを感じる。


うろうろして、やり散らかした感がある今日の記事中のひとつひとつの素晴らしい曲や演奏たちには、後日、あらためて触れ直したい。敬愛するミュージシャンのみなさん、失礼しました。でも、浅く広く渡り歩いて食べ歩きするのも、音楽の楽しみのひとつですよね。

青沼詩郎