高校生のとき、よくTSUTAYAでCDを借りた。旧作5枚1000円/1週間レンタルというサービスがあった。それで気になったものを適当に借りてくる。洋楽を借りることが多かった。ジャケットで気になったものを適当に手に取った。店に来る前から借りたいと思っていたものを手に取ることも、もちろんあった。
Weezer『Island In The Sun』
Weezerをどうやって知ったのか忘れてしまった。ジャケ買いならぬジャケ借りで知ったんだったか。
数枚聴いた中でこの『Island In The Sun』の入った『Weezer (Green Album)』がとても好きだった。10曲入って30分未満。なんてコンパクトな。
歌、リフ。エレキギターがガツン、歌メロ模倣のギターソロにキュン。これらがあれば私は十分。ほかに余計なものはいらない! とでも言いたくなる。私のツボを押してくる。
グリーン・アルバムの3曲目『Hash Pipe』。激しめ。
https://tower.jp/article/news/2019/09/11/tg010
こんな記事にもあるように、Weezerにはメタル・ハード愛がある。
激しい曲のあと、4曲目『Island In The Sun』の軽めのクリーン・クランチギターと浮遊感ある声のハーモニー“Hip,hip”のイントロが来る。この落差の心地よさに私はいっそう参ってしまう。
単語、islandがもたらす印象
開放的で光に満ちた映像・光景を想像させる歌詞。一方でislandという単語から私は逃避や非現実(非日常)を想像する。
結婚披露宴を思わせるMVは、この曲想の表現によく沿っていると思う。結婚はどこまでも現実でありながら、人生のハイライトであり、かつ幸福のピークだからこそ絶望や終焉への出発点でもある……なんてことを言ったら「違う。結婚は幸せへのスタートだ」なんて古き良き時代の日本の仲人さんか誰かに諭されるかもしれない。仲人さんは絶滅したのだろうか。私は実際に見たことがない。どっちでもいいのだけれど。
時代は常に終わりながら始まる。逆でもいい。結婚はしたければすればいい。してもしなくても幸せになれる。
サビ、メロディセンス
『Island In The Sun』の話に戻る。憂鬱を帯びた曲調を砕き壊すかのように、コーラス(サビ)でガツンとお得意のヘヴィなサウンドが来る。これがWeezer流の烙印、マーキングか。変革の道しるべ。
歌メロディが美しい。Weezerの音楽には私の国のある時代のポップソング、あるいは歌謡や童謡に通ずる旋律の情緒がある。泉のように湧き上がり、一気に生まれたのがこの『Weezer (Green Album)』なのではないかと思わせる。実際がどうかは別として。
グリーン・アルバムのポジション
ユニバーサルのWeezerページのBIOGRAPHYをみる。バンドのヴォーカル・ソングライターのリヴァース・クオモの大学生活やメンバー脱退などの変化に翻弄されて、ある時期バンドとしての動きを沈黙させるWeezer。それを破って出てきたアルバムがグリーン・アルバムなのだと背景を知ると、なお存在が際立つ。
陸続きのisland
『Island In The Sun』MV異バージョン。動物たちとの戯れ。非日常感あるが、野生動物にとっては原野が日常。陸続きにisland(孤立、孤独、隔絶、夢想、至福、etc…)は存在している。そこここ、至るところに。
青沼詩郎
『Island In The Sun』を収録したWeezerの『Weezer (Green Album)』(2001)
ご笑覧ください 拙演(YouTubeへのリンクShiro Aonuma @bandshijin『Island In The Sun(Weezerの曲)ウクレレ弾き語りとハーモニカ』)
青沼詩郎Facebookより
“高校生のときTSUTAYAで旧作5枚1000円で洋楽を借りるというのを繰り返した。Weezerはそんな風にして手に取ったもののひとつ。『Island In The Sun』が入ったセルフタイトルの通称Green Albumはお気に入りだった。
根音が6-2-5-1と4度(転回して5度)進行の反復。”Hip, hip”と印象的。
歌詞は平易さがかえって憶測させる。薬でトんじゃう感覚の表現なのかなとか。Sunという語が光をイメージさせる。Islandも開放的な場所のイメージだけど、閉鎖的で逃げ場がなく孤立した場所という面を持ってもいる。どこか憂鬱感が漂う。ギターロックの手触りで美しいメロディやハーモニーを極力シンプルに、というスタイルは私の理想のひとつ。とても好きなバンド。”
https://www.facebook.com/shiro.aonuma/posts/3506887509404898