はじめてのエレキギター

私は中学生のときにギターをはじめた。

吉祥寺の楽器屋さんに、5歳上の兄の友達・nさんに付き添ってもらって行った。

アドバイスをもらって選んだのはグラスルーツチューニングロック式のエレキギター。

初心者はチューニングに苦労するとかわいそうだからという意図でnさんはチューニングロック式をお勧めしてくれたのかもしれない。

あとになって思うこと。

チューニングロック式は機構が複雑だ。

弦の交換も、作業が多い。

ほかのチューン、メンテにおいても同じ。

一本目、すなわちはじめてのギターだったから、それがいかに複雑かを知る由もなかった。nさんが勧めた理由も、真相はわからない。

アーム(音程を揺らすことのできる機構の操作部)を取り付け可能だったし、音も良かった。値段も中学生の一本目としては恵まれていただろう。父さん母さんありがとう。

ギター友達とコピーした19

中学生になって、ギター友達に出会った。sくんだ。

彼とデュオで、当時のポップミュージックをコピーした。

なかでも一番思い出深い曲が19の『あの紙ヒコーキ くもり空わって』(1999)。

19は二人組だから、私とsくんがコピーするのに相性が良かった。

サビサビへのコード進行

19の登場はテレビで知った。

あの紙ヒコーキくもり空わって』のCMで、サビが私の頭に刷り込まれた。

メロはAメージャー調なのだけれど、その調のⅤであるEコードからF→Gと進んでサビのCメージャー調に連結する。

確か、テレビCMでもこの部分あたりからサビが使われていたうろ覚えがある。

とにかく、コード進行が印象的だった。

空耳な(?)歌詞 メーヴェとは

それから歌詞

テレビCMのみを聴いていたとき、歌詞「夢を描いたテストの裏」がどうしても聞き取れなくて、「ゆめをかいたカストロブラ」に聞こえた。カストロブラってなんやねん。

Aメロの歌詞に出てくる「メーヴェ」は『風の谷のナウシカ』に出てくる、主人公が操る飛行装置のことらしい。これは今知った。

そう、「メーヴェ」ってなんやねんと当時から思っていたけれど、その正体も意味も知らずに、気にせず歌えてしまうアホ中学生が当時の私だった。ちなみに今でもその自覚がある。

私のバンドの音作りの原点

私は歌をつくって、楽器や声を重ね録りして楽曲制作をしている。高校生のときにオリジナルをやりはじめた。カセットMTRともその頃出会った。

今、あらためて『あの紙ヒコーキくもり空わって』を聴いてみる。

すると、なんだか、バンドのアンサンブルの構築がとっても自分の制作と似ているなと思った。

自分では意識したつもりはない。中学校を卒業して以来は、ほかのバンドの音楽に傾倒していたから、19の曲をコピーすることは、長いことなかった。

それでも、思い出の音楽は心の深いところにあったのだ。

何か自分の「現在」に亀裂が入ると、そういう思い出の音が噴き出るのかもしれない。最近とくに苦しいことやつらいことがあったというわけでもないけれど。何もないなりに、私の毎日にもいろいろあるのだろう。心の音楽を顧みてばかりの日々である。

音楽ユニット・19について

あの紙ヒコーキくもり空わって』の作詞者は326(みつる)、作曲は19(数字ばっかりだ)。19は岡平健治岩瀬敬吾、ビジュアルと詞を担った326によるユニットだった。やがて326は抜けて、19は岡平と岩瀬の二人だけになった。解散は2002年2月。その頃、ちょうど私は中学3年生だった。

思い出を顧みている

19の解散に衝撃を受けた! という記憶がない。中学校の卒業でバタバタしていたのか。その頃、ギター仲間のsくんを含んだ級友たちと生まれて初めてドラムやベースを含んだ編成のバンドをやった。初めての舞台は中学校の音楽室で、卒業パーティーと称したイベントだった。曲目は19のレパートリーやL’Arc-en-Cielの『STAY AWAY』ほかをやった。私はドラムスを担当した。

今、休暇で標高のあるところへ来ている。

滞在先は電波がない。それがあるところまで、メーヴェですっと降りて行けたらいいんだけど。

青沼詩郎

19 アーティストサイトへのリンク

https://www.jvcmusic.co.jp/19/

19(Wikipedia)

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/19_(音楽グループ)

メーヴェについて。なんと実現させてしまった人たちがいる。飛行実験をしたという記事。https://news.livedoor.com/article/detail/11864658/

すごい。けどめっちゃ危なそう。墜落したら搭乗者はひとたまりもないだろう。でも飛行姿勢は見た感じ安定している。作中で見たアクロバティックな飛行はさすがに無茶だろう。

あの紙ヒコーキ くもり空わって』を収録した19のアルバム『音楽』(1999)

ご笑覧ください

青沼詩郎(筆者)による『あの紙ヒコーキくもり空わって』カバー